今すぐつま先で立て

僕は筋トレの信奉者であることは今更言うまでもない。

愛知に住んでいた時、屋外に置いてある部品の運搬用の箱を拭くというおよそ人間がやるべきではない仕事をしていた。自信もなく、貯金も無い僕僕が唯一やることが出来た前向きな活動が筋トレだったのである。老人しかいない設備のショボい市営ジムに行き始めたときから人生が変わった。

 

英語にも取組むことが出来て、転職して関東に来ることが出来た。全ては最初の一歩を踏み出すことが出来たからだ。

 

最初の一歩が無ければ僕は愛知の山奥の工場の片隅で箱に付いた鳥の糞を拭いて死んだ魚の目で貯金の残高を眺めるだけの人生だっただろう。

 

だけど僕は知っている。筋トレを始めることは難しい。人は変化よりも現状維持を望むものである。マッチョが好かれることくらい皆知ってる。

昔すぎて何で見たのか忘れたがマッチョ過ぎるのはちょっととか言って、ソフトマッチョの代表格として取り上げられていたのが魔裟斗である。

筋トレをしたことがある人間なら魔裟斗になることがどれだけ困難な道であるか分かるはずである。

 

それでも一歩が踏み出せない。需要があるのが分かってもどれだけ暇があっても出来ない。

サウナに行って自分の弛みきった腹を哀しげに眺め、ダイエットしようかなと思うだけである。

 

だけど自分の人生を変えたいと思うなら、今すぐつま先で立とう。カーフは第二の心臓と呼ばれる。

 

大体の人は立っていることだろう。

立っているだけなら場所はほとんど取らない。

今すぐ立ち上がり、踵を上げる。それだけである。それだけで人生は変わり始める。